Wau (Papua New Guinea)
世界で2番目に大きい島、ニューギニア島の東半分とその周辺の島々からなる国。世界で4番目に大きい島マダガスカルを訪れたときには、その果てしなく広がる禿山に驚かされたが、上空から眺めたニューギニア島はマダガスカル島とは対照的に鬱蒼としたジャングルに覆われていた。「最後の秘境」と呼ばれるだけあって、壮大な自然とそこで未だに原始的な生活を営む高地民族など見所の非常に多い国であるが、この国は私が訪れた中で最も旅行のしにくい国とも言える。
旅行者にとって、宿、食事、交通手段の3つの確保は重要な問題であるが、これらがこの国では誠に困難である。バックパッカ-向けの安宿などというものはほとんどなく、レストランは高級ホテルの中以外は全く無いといっていい。唯一kai-barと呼ばれるファストフード店のようなものがあるが、衣がもっさり付いてる揚げ物ばっかりでとても毎日食えるような物ではなかったので、私は滞在中の食事のほとんどをインスタントラーメン、パン、バナナ、ゆで卵で過ごしていた。
公共交通機関は飛行機以外にPMVと呼ばれるバスが広く利用されているが、例によって超満席にならないと出発せず、道路事情も非常に悪い。私は長距離の移動には主に飛行機(Air Niugini)を利用したが、一度として定刻には出発せず、またX線のセキュリティチェックなどあるわけも無く、ある時など、どっかの高地民族と思われるおっさんが狩りにでも使うような槍を機内にまで持ち込んで、ようやくスチュワーデスに止められていたほどだ。そして、この国の旅行を困難にしている最も大きな理由が治安の悪さである。この国のいたる所でラスカルと呼ばれる強盗団が暴れまわっていて、殺人も起きている。私がWau Ecology Instituteで出会ったアメリカ人の生物研究者によると、彼の兄弟も昨年の9月に自家用車を運転中に襲われ亡くなってしまったそうである。旅行者にとってレンタカー移動は非常に楽ではあるのだが、この国では道路を障害物で封鎖して車を襲う手口が頻発しており、絶対に避けるべきである。
先入観からかもしれないが、私が街を歩いた時も、道端に座っている若者の視線は非常に鋭く感じられ、とても気が抜けなかった。この国の人々は見た目はアフリカ人と非常に近く見えるが、アフリカ人のような陽気さが無いように感じるのは、アフリカのような街中に響く音楽が無いからかもしれない。私がこの国を旅行しようと決めたのは、この国の貴重な自然、特に珍しい昆虫が見たかったからである。確かにこの国を旅行するのは非常に体力のいることでもあったが、旅行しずらいというのは決して悪いことばかりではなく、むしろ変に観光地ズレしていなくて、この国の生活というものを感じる事ができ、本当の意味で旅をすることができるのではなかろうか。後にオーストラリアに滞在してあまりに観光地化された都市などを見ていると、つくづくそう感じてしまった。
Wau Ecology Institute (PAPUA NEW GUINEA)
パプアニューギニア第二の都市Laeから車で約4時間半のところに、Wau Ecology Instituteという研究所があり、トリバネアゲハなどの昆虫が飼育されている。ゲストハウスがあって宿泊可能となっているが、私が今年最初の宿泊客だったため、部屋は恐ろしく汚く、水道も不自由であった。ただ、それでも私にとっては非常に滞在する価値のある場所であった。
パプアニューギニアで見られるトリバネアゲハ
鳥の羽のアゲハである。最初に発見されたときは銃で打ち落とされたとまで言われている。
トリバネアゲハはワシントン条約で保護されていて輸出入は禁止されているが、そのほかのカブトムシなどの昆虫の標本は積極的に売って、この地域の産業として発展させるつもりとのことである。
WauからLaeへの帰り道。
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